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ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル

ビー・エム・ダブリュー株式会社は、1981年に日本における欧州自動車メーカー初の全額出資子会社として設立。34年の歴史の中で低金利ローンや認定中古車制度など、さまざまな業界標準を築いてきた。数々の国でCEOを歴任し、昨年日本の代表取締役社長へと就任したペーター・クロンシュナーブル氏にこれからの日本市場における戦略について話を伺う。

ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長
ペーター・クロンシュナーブル
1967年生まれ。ドイツ出身。独プォルツハイム大学を卒業後、1995年にBMW AGに入社。東ヨーロッパ市場を担当した後、2006年にBMWグループ・インド、2010年にBMWグループ・ロシア、そして2012年にBMWグループ・ベルギーの社長を歴任。販売・マーケティングの分野で約20年のキャリアを積む。2014年7月より現職に。
インタビュアー:カーグラフィック代表取締役社長 加藤哲也

日本独自の開発部門をもつことで、お客さまの要望に応えています。

加藤 クロンシュナーブルさんは日本にこられてまだ間もないと思いますが、まずBMWでこれまでどのようなことをされてきたのか経歴を教えてください。

クロンシュナーブル ドイツの大学で、国際ビジネスの修士課程を得て、1995年にBMW AGに入社しました。2006年にCEOとしてBMWインドへ、その後ロシア、ベルギーとわたり、昨年日本にきました。日本はBMWグループにとって6番目に大きな市場です。ですから、とてもやりがいと期待を持って来日しました。

加藤 20年間、BMW一筋なんですね。やはりBMWへの愛着みたいなものは人一番おありなのでしょうか?

クロンシュナーブル イエス。日本語で“はい”ですね(笑)。

加藤 もちろん、ノーとは言えないですよね(笑)。

クロンシュナーブル 愛着もありますし、もちろん情熱もあります。実は私とBMWとの関わりは入社してからのものではなく、それ以前からありました。学生時代にコンサルティングの会社を立ち上げて企業向けに仕事をしていたのですが、そのときのクライアントの1つがBMWでした。その頃からすでにBMWへは興味を抱いていました。

加藤 クルマへの興味はおありだったのですか?

クロンシュナーブル もちろん。子どもの頃にカートをしたり、ドライブすることはずっと好きでした。つい最近では2013年に1950年代のBMW 507でヒストリックカーラリーに参戦しました。ベルギーの陸上競技の400m走のチャンピオンとチームを組んで、コ・ドライバーとして参加してもらって、素晴らしい体験でした。

加藤 なるほど。ちょうどベルギーにいらした頃の話ですね。クロンシュナーブルさんはいろんな市場を経験なさっておられますが、日本市場をどんな市場と予測されていたのでしょうか?

クロンシュナーブル 自動車メーカーが数多く存在する自動車先進国であるというイメージですね。それは製造国としてだけではなく、もちろん販売をするという意味においても重要なわけです。日本市場における乗用車の年間登録台数が約560万台で海外ブランドのシェアは5.2%しかない、軽自動車をのぞいても8.8%しかない。したがって、われわれのようなプレミアムセグメントのブランドはまだ成長の余地があるとみていました。またその一方で、コンパクトな車両の販売台数も伸びていくとみています。そのためには、もう少し輸入車に対する規制がゆるやかなものになって、軽自動車を含めてより公正な環境になればさらにマーケットは広がると考えています。

加藤 ただ、BMWはプレミアムブランドですから、軽自動車とは比較されないような気がしますが?

クロンシュナーブル もちろんそのとおりです。プレミアムセグメントと軽自動車を比較しての話ではありません。ただしわたしはJAIAの副理事長という立場でもありますから、輸入車全体のことを考える必要もあります。より小さな車種を販売するブランドもありますから、軽自動車のことも無視するわけにはいきません。日本はマーケットとしては開かれていますし、フェアな競争環境にあると思いますが、一方で軽自動車とコンパクトカーの税額を比較すると、コンパクトカーが割高であることも事実です。その状況がほんの少しでも変われば、より輸入車のマーケットは広がる可能性があると思います。

加藤 やはり日本における輸入車のシェアをあげていくためにはBMW単独で、ということではなく輸入車全体のボリュームを高めていく必要があるとお考えですか?

クロンシュナーブル もちろん、そうですね。日本の乗用車市場を見た時に、年間の登録台数が約560万台に対して輸入車はトータルでみても約29万台しかない。これは諸外国に比べても圧倒的に少ない割合です。
加藤 そうした現状をみて、着任後の日本のイメージはどうですか? そしてこれから手がけられていこうとする戦略などはありますか?

クロンシュナーブル もちろん細かな部分でイメージと異なるところはありますが、概ね予備知識として得ていたものとの違いはありません。日本は自動車における成熟マーケットですし、お客様のご要望を高い次元で想定しなくてはなりません。また、BMWとしては、全社的にここ数年新しいマネージメントにとりくんでいます。これまで成功してきたものを継続しながらも、よりダイナミックに、さらに成長しつづけたいという思いから、新しいアイデアをもりこんでいく試みを実行中です。それは何よりもBMWのもっている「Sheer Driving Pleasure(駆けぬける歓び)」という遺伝子を体現するものです。

加藤 クロンシュナーブルさんが考える、企業にダイナミズムを与えるための際立った方針とはどのようなものでしょうか?

クロンシュナーブル これは日本だけではなくグローバルとしての取り組みなのですが、いま未来を見据えて販売戦略の再構築がはじまっています。“Change2Success(チェンジ・トゥ・サクセス)”というプログラムを用意して、そのもとで、ホールセール(卸し)とリテール(小売)の両方を進化させる取り組みをしています。20ほどのプロジェクトが組まれていて、自らのアイデンティティをどのようにとらえるべきかということにはじまり、どういうプロセスをもって販売を進めていくのがよいのか、そのためにどういう研修すればいいのか、どうすれば顧客満足度はより高まるのか、プロダクトのDNAをより深く理解してもらうためにはどうすれば良いのか、いろんな案件がこのプログラムには含まれています。

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