昨今、カーボンニュートラル実現の機運が高まっているなかで、JAIA会員各社は日本のお客様に、電動車をはじめとした最先端の安全・環境技術を備えた世界各国のバラエティに富んだ輸入車をお届けすることができるよう、技術の発展に伴う新たな課題の解決に向けチャレンジしております。さまざまな魅力を持つ輸入車を日本のお客様にお届けすることを通じて、日本の自動車市場を活性化し、日本の持続可能なモビリティ社会の発展に貢献すべく最大限の努力をして参ります。
2023年上半期の国内自動車市場について、登録台数は約156万台と前年を上回るペースで回復傾向にあります。一方、外国メーカー車の登録台数は、4ブランドにおいて上半期の過去最高を記録しましたが、2023年上半期の輸入車総計は2022年上半期と比べ0.6%減の153,034台となりました。
一方で、輸入EVについては、昨年2022年に引き続き好調であり、昨年8月以降11か月連続で増加を続け、2023年上半期の輸入EVの登録台数は9,239台と、2022年上半期の5,192台に比べ77.9%増となり、上半期としても2019年以降5年連続で増加、年間では2万台の大台も見えて参りました。これは、政府による補助金等の各種支援策やメンバー各社がお客様のニーズにこたえられるようEVのラインナップを16ブランド95モデルまで拡充した結果と考えております。
従来からの半導体不足の影響については、会員インポーター各社により状況は様々ですが、おおむね回復基調にあると考えています。原材料価格等の上昇等の課題もございますが、JAIA会員各社は、日本のお客様のため、引き続き努力を行ってまいります。
また、2023年度税制改正大綱にて、現下の情勢に鑑みエコカー減税・環境性能割については2023年末まで、EV等についても現行の優遇が今後3年間それぞれ据え置かれること等が発表されました。この施策はJAIA含め業界の要望を聞き入れていただいたものであり歓迎しています。
電動車については、税制優遇に加え、補助金など政府からの支援をいただき、また会員各社が積極的に日本市場へ電動車を投入することでより販売台数が増えていくと期待しています。
JAIAとしては、輸入EVの魅力をお客さまにお伝えし、幅広いラインナップをお客様に提供するとともに、イベント等も実施してお客さまにより身近なものとしてEVを感じていただくよう努めてまいります。
あらゆるラインアップに対して幅広く、また切れ目ない形で継続的な購入補助金等をいただく等、政府のご支援をいただきながら、電動車を取り巻く充電を含めた環境を整備していくことが肝要であると考えています。
EVの販売が今後着実に伸びることによって輸入車市場がさらに活性化され、輸入車全体の販売台数がコロナ禍前の水準にさらに近づくことを期待しています。
まず、市場活性化と環境・エネルギー分野に関する活動についてご説明します。最初に、2分野にまたがる活動としてJAIAの電動車の取組みをご紹介します。
JAIAでは電動車をさらに広めていくために、①補助金制度等に関する政府への要望活動だけでなく、②電動車普及イベントの開催や③充電電圧等に関する規制緩和の検討といった充電インフラの環境整備、④リチウムイオンバッテリーのリサイクルといった4項目を主軸に事業を進めております。
まずは政府に対し、電動車の購入補助金の施策について、継続的に切れ目なく実施していただきありがとうございます。先ほども述べましたが、この補助金のおかげで2023年上半期の輸入EVの登録台数は9,239台と、2022年上半期に比べ約1.8倍に増えました。
次に、輸入電動車の認知向上の取り組みをご紹介します。JAIAは2021年より輸入電動車普及促進のプラットフォームとして活動し、7月14日から15日に、関西有数のモード発信地である神戸で「JAIA輸入電動車普及促進イベント」を開催し、四輪インポーターから10社28台、二輪インポーターから1社3台を展示しました。前年度の主催イベントと異なり、政府関係者、メディアのみなさまだけでなく一般の方にも直接輸入電動車の魅力を知っていただく機会といたしました。さらに、電動化においてJAIAが直面する課題をご来場のみなさまと共有すべく、自動車整備士を育てる自動車大学校と会員・販売店の懇談会や充電インフラ企業8社、リサイクル事業者2社の展示ブースも設けました。
今後について、JAIA内部での議論も踏まえた上で電動化の課題を意識して、充電事業者等との連携のもと、関係省庁・地方公共団体等関係機関の協力も得ながら、電動車の認知度を高めるためのプロモーション活動を開催場所や手法の工夫を凝らして実施していくことを検討してまいります。
また、10月26日より東京で開催されるJapan Mobility Show内で、JAIAメンバー各社も個別にご参加頂く予定ですが、JAIAとしても電動車の魅力を知っていただけるようなブースもJAIAメンバーの参加も頂いて設ける予定です。こちらもぜひご期待ください。
電動車の普及のためには、誰にでも使いやすい充電インフラの充足が必要です。
経済産業省では、現在2030年に向けた充電インフラのロードマップ策定のために官民連絡会を立ち上げて検討を進めており、JAIAではこの検討会の議論に大いに期待しております。
JAIAでは従来より、充電インフラに関しては重要な課題として対応しておりましたが、昨今、充電インフラに関して幅広い課題に対応するため、JAIA内に横断的なチームを立ち上げて検討を進めております。
先般の経済産業省の検討会でもJAIA事務局からご説明させて頂きましたが、関係方面で様々なご尽力を頂いていることを感謝しておりますが、基礎充電・経路充電・目的地充電における大容量化とともに、質と量を含めた更なる充電インフラの拡充が必要であると考えております。
2030年に向けて車両・充電インフラ双方において、技術開発等における先をにらんだ先行投資を行い、さらなる高電圧化等に向けた取り組みを迅速かつ的確に進めていくことが必要と考えています。
そうした観点から、今もご支援頂いておりますが、引き続き政府による継続的で切れ目ない補助金等支援が必要と考えております。併せて東京都の事例にみられるような公共駐車場や集合住宅への充電器設置を促進するための環境づくりが必要で、東京都のみならず地方へ展開されることが重要です。既築集合住宅や既存の機械式駐車場等への充電器整備が進むよう関係者のご支援をお願いしているところであります。
更に具体的な例を申し上げておきますと、6kW超の普通充電器への補助金適用など普通充電器の高出力化へのご支援、超急速充電が実現するような高電圧化に関する電圧規制の緩和に向けた環境整備などが重要な課題です。
高速道路上の充電インフラが質・量とも充実し、速く充電できるようになることを期待しています。さらに高速道路近傍のEV充電器利用のための高速道路からの一時退出の制度化が実現するとともに、充電事業者の負担が少ないかたちで仕組みが導入されることを要望しているところであります。
なお、高電圧化を考えていくうえで、規格の問題をどう扱っていくかが重要になってきます。諸外国の動きも注視しているところです。
リサイクル分野では、会員各社が適切にリチウムイオン電池の回収に対応できるようサポートしてまいります。年初JAIA内に立ち上げたタスクフォースで、欧州電池規則などの海外情報の収集、国内の事業者との連携などを進めながら、日本政府の動きなど国内情報も参考にしながらリチウムイオン電池の適切なリサイクル・リユースに向けた検討を進めてまいります。
続きまして、電動車以外の取り組みもご説明いたします。まず、税制改正要望については、今年もJAIAとしては引き続き過重な自動車関係諸税の負担の更なる軽減と税制の簡素化・公平化を求める要望活動を進めて参ります。特に日本市場における電動車普及が十分に軌道に乗り、カーボンニュートラル政策に則り諸外国と同等のレベルに達するまでは、すべての電動車が税制の優遇を受けられるよう、政府に対して政策的支援を継続いただきますようお願いしていきます。
環境・エネルギー分野において、乗用車燃費基準は乗用車の2030年度燃費基準は2020年度基準に比べ、平均燃費ベースで44.3%の大幅な改善が必要となりますが、実燃費を向上させる省エネ技術を評価して、その普及を促すオフサイクルクレジットといった柔軟的措置の導入をJAIAとして要望してまいります。
次に、JAIA会員各社が、日々進歩する技術に対応した先進的な自動車をスムーズに日本市場に投入できるように実施している安全と基準の調和に関する活動についてご説明します。
まず、安全・環境性能を確保した輸入車を日本の消費者へ追加コスト等をかけずに提供していくため、関係当局とともに、国際的な基準の整合、さらに認証制度について国連の1958年協定に基づく相互承認制度が活用できるよう長年活動して参りました。この結果、車両全体の国際的な車両型式認証制度であるIWVTAが2018年に成立しています。
その後、本年6月より排ガス・燃費・電費に係るUN-R154が正式に追加される等IWVTAの制度は年々拡充され、乗用車に関する主要な安全・環境関係装置型式認定を包含する形のIWVTAの取得ができるようになりました。JAIAでは引き続き、車両法規の国際的な基準調和をより一層推進する等の活動を通して、完成度の高いIWVTAの実現に向けて活動して参ります。
その他の安全技術面では、本年6月に、JAIAからの働きかけを一つのきっかけとして、日本より国連WP29で法規策定作業を行っていた、日本独自基準の直前直左視界要件を代替する新UN法規(UN-R166)が正式に発効されました。JAIAとしてはJASIC活動等を通じて国際基準調和等により、残された日本の独自基準が解消されるように、必要に応じJAIAは政府への要望等の活動を継続して参ります。その他、会員各社は交差点対応等の高性能なAEBSや車線維持/逸脱防止装置、高機能な前照灯等の搭載車種の市場への導入を順次拡大して参ります。
さらに、本年7月より、コネクテッドカー等の車両安全確保のために今後ますます重要となる車載システムのサイバーセキュリティ(CS)/ソフトウエア・アップデート(SU)の法規が輸入車にも本格的に適用となりました。その際に既販車のプログラム改変時についての許可申請において、日本独自で要求されるように規定され海外と重複していたCS/SUの管理能力に係る適合証明に関し、JAIAから国土交通省への要望活動の結果、証明書の重複取得を不要とする合理化が実現しています。引き続きJAIAは、国土交通省との対話等を通して 新たなCS/SU規制への合理的で効率的な運用を目指した活動を進めて参ります。メンバー各社は、各OEMとも連携し、適切にこれらの新規制に対応して参る所存です。
また、通信分野に関するWGを通じて、自動車内外に実装される電気通信設備や通信インフラの動向の把握に努め、周波数や通信方式などの国際協調に取り組んでまいります。
自動運転技術については、自動走行ビジネス検討会やSIP-adus及びその後継プログラムの情報収集を継続いたします。
このような取組みを進めながら、お客様により高い安全性と利便性を提供できるよう貢献して参りたいと考えています。
つづきまして、自動車公正取引・アフターセールス分野等の活動についてご説明します。
自動車公正取引に関しては、JAIAは自動車公正取引協議会の作業部会に積極的に参加し、JAIA会員への自動車公正競争規約の周知徹底及び、公正な取引の確保を目指した活動を引き続き進めて参ります。
アフターセールス分野においても、JAIAは、今年1月から導入された電子的車検証やコネクテッド技術の発展に伴う新たな動き、車載式故障診断装置を活用した車両検査制度、さらにはリコール関連手続き等、メンバー各社が法令を遵守し、適切に対応するよう対処して参ります。
また、昨今、自動車産業共有の課題として、整備人材の不足がさらに喫緊の課題となっております。JAIAとしても2022年9月、自動車整備人材関連情報連絡会を設置し、”国への制度面における働きかけ”、”JAIA会員・販売店と自動車整備専門学校・大学校との連携”、”販売店等におけるベストプラクティスの共有”、”外国人人材の活用検討”、”整備工場関連等の補助金などの制度活用への情報提供”、という5つの活動領域を設定し具体的な活動を進めています。
先ほどご説明しました神戸のイベントにおいても、自動車整備士養成校等とメンバー各社との連携の強化として、学校と会員・販売店との懇談会を開催し、また、輸入自動車へ興味を持つ若者を増やしていくことは大切という視点でイベント運営を行っております。
先ほどの5つの活動領域をお話ししましたが、今後はより具体的に活動してまいります。例えば外国人人材活用の検討については、連絡会を通じて販売店にアンケートを行ったところ過半数で、すでに外国人メカニックを採用、または採用予定であるという結果も明らかになりました。この度、外国人材の活用ついては国でも在留資格の見直しが行われており、自動車整備分野でも新たに条件を満たせば無期限で在留可能な方向に向かっていることをJAIAとしても注目しています。外国人人材活用の環境整備に関しては、今後は連絡会を中心にメンバーのニーズに応じてアドホックに説明会を開催するなど積極的に対応していければと思っております。また、若者を含む皆様に、輸入車整備の魅力をわかって頂けるようなPR活動も検討していきたいと思っております。
最後に、主要活動の第5の柱であるモーターサイクルに関する活動についてご紹介いたします。
2023年上半期の輸入小型二輪車の新規登録台数は、13,925台で前年同期(12,976台)と比べ7.3%増加すると共に4期連続の増加となりました。
本背景には、コロナ禍の影響を受け「3密を回避した移動手段」更に「密を避け一人で楽しめるツーリングキャンプ」に出掛けると云った「密に成らない遊び方」として趣味性が高く、多種・多様且つ個性的な輸入二輪車に目を向けて頂いたからだと考えています。
さて、二輪活動の大きな柱の一つは「市場活性化のための活動」です。その一つとして今年4月12日・13日に大磯ロングビーチで輸入二輪車試乗会を開催いたしました。コロナ対策を徹底し、大きな事故等もなく盛況に実施することができました。54媒体、のべ157名の報道関係者にご来場を賜りました。
また、4月7日から9日の3日間、愛知県国際展示場にて第2回名古屋モーターサイクルショーが開催され、JAIAは後援名義を付与し、JAIA二輪会員も8社出展しました。モーターサイクルを利用し来場するライダーを対象に高速道路料金の乗り放題プランの設定と共に会場内にバイク専用駐車場を拡充するなどの工夫を行いました。また、前回と同様、高校生以下と女性の入場を無料とすることで、更なる若者と家族連れの来場促進策等により、来場者は、目標の4万人に対し、42,355名が来場しました。
さらに先に触れた神戸のイベントにおいても、電動二輪車を3台出展しました。また、地域連携枠を設け、そこにJAIAメンバーである兵庫県のカワサキモータースジャパンが地元明石工場で製造した電動関係の展示も致しました。
また、9月8日に静岡県浜松市にて経済産業省が主導しモーターサイクルの将来について検討を行う第11回BLFにも参加する予定です。
JAIAは二輪車について高速道路料金の独立化や二輪駐車場の拡充、また二輪免許制度の見直しを要望しています。BLF等を軸として他団体と連携して、政府・各政党のオートバイ関連のプロジェクトチーム、検討会の場等で高速道路料金区分の独立化と料金適正化に向けた要望活動を実施いたしました。この結果、本年4月より道路事業者(NEXCO東日本等)より、土日・祝日に高速道路を利用するETCを装着した二輪車を対象に、料金を定率で割り引く「二輪車定率割引」が、昨年に続き実施されております。
二輪活動のもう一つの柱である「規制の国際調和を図るための活動」に関しまして、継続して、騒音規制、灯火器基準への対応、PHP届出制度の取得に向けた継続的なサポートを行います。
JAIAは今後もさらに輸入モーターサイクル普及と国内二輪市場の活性化に取り組んでまいります。
JAIA会員各社は引き続き、環境・安全性能に優れた魅力ある輸入車のご提供を続けると共に、JAIAは日本政府や自動車産業及び販売市場に関わる全ての組織と協力して、ユーザー負担を軽減するとともにカーボンニュートラル社会の実現に貢献して参ります。