JAIA 日本自動車輸入組合
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東京モーターショー2019 特別企画

2019年12月4日


~アルピナ社CEOインタビュー~


◆こんなにうまくいくとは思わなかった

Q:日本市場の話に戻りますが、今年、アルピナとニコルの関係が40周年を迎えました。この40年を振り返ってみてどういう感想をお持ちでしょうか。

A・ボーフェンジーペン:1979年のとき、ここまでお互いがうまくいくとは想像も出来ませんでした(笑)。誇りに思っているのは長年東京モーターショーに出展していることです。どんなに辛い時でもきちんと出展し続けたことはとても誇りに思っています。小さい魚はもしかしたら流れに乗らないで泳ぐことが出来るかもしれませんね。
もうひとつあるとすれば、日本市場にはディーゼルが合っていると考え、多くのインポーターが導入する前に思い切ってディーゼルを輸入し、そして成功を収めたことは喜びに感じています。
また、アルピナとしてとても嬉しく思っていることは、時々ニコルが全国のアルピナユーザーを招待し、サーキットイベントを開催していることです。私たちもそこに参加することで、生の日本のアルピナファンの声を聞くことが出来、その気持ちが伝わってきますので、それがとても喜びに感じています。

◆40年にわたる信頼関係から日本市場の要望を現実化

Q:そのユーザーの声を吸い上げて、次のクルマの開発につなげるということはありますか。

C.H.ニコ・ローレケ:それは数多くあります。日本のお客様の声を聞いて、場合によっては日本独自のモデルも何度も作ったことがあるのですよ。例えばD5 Sという現行モデルは日本にしかありません。こんなに小さな自動車メーカーであるにも関わらず、我々の要求に応えてくれるのです。これは我々の喜びでもあります。一生懸命我々が日本のお客様を代表していっていることに対して、関心を持ってくれているということはとても嬉しいですね。

Q:例えばどういう要望を伝えたことがありますか。

C.H.ニコ・ローレケ:日本のマーケットに合ったものといえるでしょう。例えば過去に、どうしても3シリーズツーリングのエントリーモデルが日本のために欲しいとお願いしました。その時、ドイツにはそういったクルマは存在しなくて、わざわざ日本のために彼らが開発してくれました。
また5シリーズの4WDは北海道や東北市場で要望が強かったことから、そのためにアルピナにはなかったモデルをわざわざ作ってくれたこともあります。本当にありえない世界(笑)。こんなに小さな自動車メーカーなのにそこまで細かく聞いてくれているのですから。本当にパートナーとしては非常に嬉しくも、また誇りに思っています。そこはお互いの信頼関係がこの40年間で厚くなってきた証拠でもあります。

Q:いま伺ったように日本市場の声を受けて日本に向けての専用モデルを作るほど、アルピナとして日本市場を大切にする理由は何でしょう。

A・ボーフェンジーペン:まず、我々は常にお客様の声は一番だと考えています。もうひとつは我々もメーカーですから、市場の隙間があれば、それもBMWレンジの中での市場の隙間があればそこにはきちんと向き合いたいと考えているからです。

Q:日本以外からも要望自体は上がると思いますが、どの程度応えているのでしょうか。

A・ボーフェンジーペン:もちろん世界中から要望は数多く来ます。しかし、日本とは40年間の過去の経験に基づいた信頼関係があります。言い方を変えると日本のために開発すると、きちんと日本のエージェントが販売してくれるという安心感があるということです。ですから日本に対して特別耳を傾けているというのは事実なのです。

C.H.ニコ・ローレケ:自動車メーカーですから、モデルを生産するということにはリスクがあります。そこでは確実に約束した分は受け入れるというバックボーンがなければ、メーカーとしてリスクを背負うことになりますから、なかなか動いてはくれません。しかし、日本との間で信頼が厚い理由は、確実に約束したことは常に守ってきていることが挙げられます。そういうことから日本の要望は取り入れてもらえるようになってきているのです。
我々は日本市場がよくわかっており、ノウハウもあります。それをアルピナにフィードバックすることは彼らとしては信頼出来る情報となってもいるのです。

Q:その部分ニコルさんとしては重責ですね。

C.H.ニコ・ローレケ:もちろん責任はありますが、お互いにパートナーですから、要求するだけで、後のフォローはしないというわけにはいきませんよね。
我々はパートナーにはとても恵まれています。彼らも日本市場に対して無理を言わないのです。従って常にお互いに本当の良い意味でのパートナーシップを結んでいるということなので、本当にありがたいですね。

Q:だからこそ40年続いたのでしょうね。

C.H.ニコ・ローレケ:お互いに尊敬しあっていますし、全くその通りです。

◆ディーゼルは継続、EVは?

Q:モデルラインナップについてお伺いしいたいのですが、アルピナには魅力的なディーゼルのラインナップが数多くあります。一方で特にドイツではディーゼルは逆風の状況といえます。それを踏まえてアルピナとしては今後、ディーゼルラインナップはどのように考えていくのでしょうか。

A・ボーフェンジーペン:おそらくアルピナから見てBMWは世界トップのテクノロジーを用いた綺麗なディーゼルエンジンを作っているメーカーです。特に我々のお客様の中には長い距離を走る人が多く、そうするとヨーロッパの場合、ハイブリッドや電気自動車ではそれをカバーすることは無理なのです。一回満タンで700km走りたいというお客様の要求に対してはディーゼルしか満たすことは出来ません。またディーゼルの燃料はヨーロッパ諸国のほとんどでガソリンよりも安くなっています。ユーザーにとってディーゼルのコストパフォーマンスはガソリンと比べて約6割程度なのです。最新のアドブルーのディーゼルエンジンはまだまだディーゼルとして将来があると思っていますので、SUVだけではなく今後も3シリーズも含めてディーゼルを続けていく予定です。
また、ハイブリッドテクノロジーはこれから2、3年でさらに進化するでしょう。そうするともうしばらくは様子を見ていた方が賢明だと考えています。もう少し待っていてからでも遅くはないでしょう。

Q:つまりディーゼルはディーゼルで存続をさせた上で、もっとハイブリッド技術が熟成された暁にはそれも投入していこうということですか。

A・ボーフェンジーペン:その通りです。

Q:そうするとハイブリッドも当然視野には入れているということですね。

A・ボーフェンジーペン:はい。ただし短期的視野で無理矢理にすぐ作るということではなく、中長期的に見て、良いものが出た時にと考えています。
もうひとつ背景として述べるなら、BMWのハイブリッドはいま現在ほとんど4気筒です。しかし、アルピナのお客様が要求しているのは大体6気筒以上なので、そこも考えていかなければいけないポイントです。

Q:では将来的にEVは考えられますか。

A・ボーフェンジーペン:長期的に考えた場合は、ありえないとは言いたくありません。ただし、短中期的にはまだ考えられないことも事実です。
ドイツでもアルピナがその家庭の唯一の一台になっています。先ほど申し上げた二面性を持っているからです。それを電気自動車に置き換えた場合、長い距離を走ることが出来なくなってしまいますよね。そこには無理が生じてしまうのです。

長期的に見てアルピナがEVに手をつけるとするならば、700kmから800km走れるEVが誕生した時に初めて現実化するのでしょうか。

A・ボーフェンジーペン:そうですね。ただしそれはかなり先の話になるでしょう。その700kmから800km走るのに80km/h、あるいは100km/h以下で走るぶんには可能なのかもしれませんが、アルピナのお客様は決してそんな速度で走りたいとは思っていませんから(笑)。

Q:現在自動運転というのは話題のひとつですが、アルピナはどのように考えていますか。

A・ボーフェンジーペン:自動運転とアルピナのユーザーとは対極の存在です。つまりアルピナのお客様は自分で運転することに喜びを感じているということです。BMWでアシスト的なシステムを開発することに関しては、アルピナとしては良しとしています。例えば大渋滞に入った時にそこで自動運転に切り替えられるからです。しかしいつでも自動運転を使うということは将来のアルピナとしてもありえません。

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