2009年11月10日
~秋の富士スピードウェイがロータス一色に染まった!!~
2009年9月27日(日)、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において、JAPAN LOTUS DAY 2009(第1回ジャパンロータスディ2009)が開催されました。
JAPAN LOTUS DAYは、日本初となる全国規模でのロータスのファンミーティングです。参加台数は700台。新旧のロータスが駐車場を埋め尽くし、レーシング本コースでは、ひっきりなしにカテゴリー別の走行会が行われました。
ロータスとモータースポーツは切っても切れない関係にあり、なんとオーナーの5%がレース参戦の経験を持ち、50%の方がサーキット走行を楽しんでおられ るというデータもあります。そのため、この富士スピードウェイは、このようなロータスオーナーの皆さんにとっては最高のロケーションであり、まさに「待ち に待った」開催と言えるでしょう。
ロータスのモータースポーツでのホットなニュースと言えば、16年振りとなるF1への復帰です。
ロータスは1950年代からF1に参戦し、これまで7度の総合優勝を果たしています。
とりわけ、1960年代のジム・クラークを擁しての活躍は、ブリティッシュ・グリーンのマシンカラーとともに、オールドファンの目に今でも焼き付いているのではないでしょうか。
また1970年代には、マリオ・アンドレッティ、ロニー・ピーターソンをはじめとする、きら星のごとき偉大なドライバー達と、チェッカーフラッグとともに帽子を投げる創始者、コーリン・チャップマンの姿が懐かしく思い出されるかも知れません。
コーリン・チャップマンは、1982年に亡くなってしまいますが、1980年代のロータスF1は、ナイジェル・マンセル、アイルトン・セナといった歴史にその名を残す素晴らしいドライバーを生み出します。
残念ながら、1994年シーズンを最後にロータスはF1のレース活動を停止しますが、いよいよ2010年よりの復帰。
新しいロータスF1がどのような活躍を見せてくれるのか、期待が膨らみます。
ロータス・カーズは2008年、誕生60周年を迎えました。
その歴史は、コーリン・チャップマンがまだ学生時代の 1948 年に、オースティンセブンを独自に改造した”マークⅠ”でローカルトライアルレースに参加したことから始まります。
その後、初めて「ロータス」の名前を冠した”マークII”により、レース界での栄光の歴史の幕が切って下ろされます。
ロータス(英語で蓮の意)の社名の由来は諸説あるようですが、仏教思想の「苦しみから解放されて夢のかなう実」としての蓮にちなんで名付けたとの説がどう やら有力のようです。また、エンブレムに蓮の葉と共に描かれるA-C-B-Cのアルファベット4文字は、チャップマンのフルネームであるAnthony Colin Bruce Chapmanのイニシャルであることは、ロータスファンには良く知られた話です。
レース活動と並行して、ロータスは魅力的な市販車を次々と発表していきます。その多くが、小型、軽量であり、また優れた技術による卓越した操縦性を持つライト・ウェイト・スポーツで、それらはライバルメーカーの羨望を集めるものでした。
一方、ロータスは他社への技術開発協力という新たなビジネスも積極的に展開していきます。同じイギリスのメーカーであるジェンセンのエンジン開発や、1980年代に入ると日本のトヨタ自動車と資本提携を結び、同社のニューモデル開発にも関与します。
当時のトヨタ自動車のテレビCMに、チャップマンが登場していたことをご記憶の方もおられることでしょう。
また、従来のライト・ウェイト・スポーツを主体としたラインナップから、よりラグジュアリーなモデルへの展開を図り、自動車メーカーとしての規模を拡大していきました。
しかし、1982年にチャップマンは54歳でこの世を去ってしまいます。
その後、ロータス社はゼネラル・モータース(GM)の傘下に入り、GMのモデル開発にその手腕を発揮します。当時同じGM傘下にあった日本のいすゞ自動車のモデルに、「ハンドリング・バイ・ロータス」と称するモデルが発売されたのもこの時期です。
1993年にはブガッティの傘下となり、1996年にはマレーシアのプロトン・グループの一員となって今日に至ります。
日本でのロータスの歴史は、市販車が登場して間もない1960年代の前半から輸入が開始され、これまで多くのロータスファンの熱い情熱によって支えられて きました。その後幾度かの輸入元の変遷を経て、2003年からは現在のインポーターであるエルシーアイ株式会社により、新しい時代の魅力的なロータスが日 本のロータスフリークの元に届けられています。
さて、話をJAPAN LOTUS DAY 2009(第1回ジャパンロータスディ2009)に戻しましょう。
ピットビル前のAパドックと呼ばれるエリアは、ロータスで参加された方の専用駐車場です。新旧のロータスがエリアを埋め尽くしました。
車種別に固まって駐車されたロータスは圧巻の一言です。
レーシング本コースでは、クラス別の走行会がひっきりなしに続きます。この運営を考えると、出走別にクルマを駐車した方が良いのですが、主催者のジャパン ロータスデイ実行委員会は、皆様に楽しんでいただくことを第一に車種別に駐車することを選びました。隙間なく車種別に駐車する運営も見事なものでした。来 年は、クラシックロータスを手前に配置したいとの考えもあるようです。
8時30分から開会式です。
開会式では、高橋 一穂さん(エルシーアイ株式会社(ロータス正規インポーター)代表取締役)、相原聡さん(ジャパンロータスデイ実行委員会委員長/エルシーアイ株式会社代 表取締役社長)、坂田 憲彦さん(エーシーマインズ(愛知県のロータス正規ディーラー)代表取締役社長)から挨拶がありました。
高橋 一穂さん挨拶:
エルシーアイ株式会社が日本でロータスの輸入を開始してから6年が経過しましたが、ロータスに関して大先輩の皆様に教えていただきたいことがたくさんあります。
今日はロータスファンの皆様の集まりとして、思う存分楽しんで下さい。
相原 聡さん挨拶:
今日は皆様が主役です。
トークショーなどのステージイベントも用意しています。盛り上がって行きましょう。
坂田 憲彦さん 挨拶:
新旧のロータスオーナーが分け隔てなく集まり、楽しめるイベントをしたいということで、ジャパンロータスデイを企画しました。
世代を超えて懇親を深め、先輩方はぜひ、クルマ道楽の真髄を若い世代に伝えていただきたいと思います。
開会式の後は、ステージの横でエヴォーラ(Evola)のお披露目が行われました。
エヴォーラは、2008年の英国国際モーターショーで初公開され、国内では2009年6月から発売が開始されました。3.5リッターDOHCのV6エンジンをミッドシップにマウントしていながら、2+2シーターを確保するという世界でも珍しい2ドアのスポーツカーです。
多くのお客様に囲まれながらのお披露目です。
その後、じゃんけん大会が行われ、勝ち抜いた5名の方が、荒聖治選手がドライブするエヴォーラの助手席の体験同乗というプレミアムな権利を獲得しました。
開会式の後は、レーシング本コースで、車種やサーキット走行の経験に応じたカテゴリー別の走行会が始まりました。
エキスパートはレース経験者、クラブマンはスポーツ走行経験者、チャレンジはスポーツ走行初心者が対象となり、ファミリー走行はオフィシャルカーによる先導ありで同乗走行も可能です。
レーシングコーススケジュール
時間 | カテゴリー | 参加車種 |
---|---|---|
9:00~9:25 | ロータス/チャレンジ(Aグループ) | ELISE、EXIGE、EUROPA S、2-ELEVEN、ESPRIT、340R |
9:35~10:00 | スーパーセブン | CATERHAM SUPER SEVEN |
10:10~10:35 | ファミリー走行 | 全車種 |
10:45~11:10 | ロータス/クラブマン | ELISE、EXIGE、EUROPA S、2-ELEVEN、ESPRIT |
11:20~11:45 | フォーミュラ | FJ、F3、F2、FFなど |
12:00~12:25 | ロータスカップ・ジャパン模擬レース | |
12:30~13:20 | EVORA同乗体験試乗会 | |
13:30~13:55 | ロータス/エキスパート | ELISE、EXIGE、EUROPA S、2-ELEVEN、340R |
14:05~14:30 | ヒストリック/スポーツ | ELAN、EUROPA、LOTUS SEVEN、SUPER SEVEN |
14:40~15:05 | ロータス/チャレンジ(Bグループ) | ELISE、EXIGE、EUROPA、EUROPA S、2-ELEVEN、ESPRIT、340R |
15:15~15:45 | ヒストリック/エキスパート | ELAN、EUROPA、LOTUS SEVEN、SUPER SEVEN |
16:00~17:00 | パレードラン | 参加車両全車 |
走行会では、参加の皆さんが各々のペースでスポーツ走行を楽しまれていました。
モータースポーツと切っても切れない関係にあるというだけあって、現行モデルも往年の名モデルもサーキットで元気良く走る姿がとても似合います。
一周4,563メートルのレーシング本コース。1,475メートルという世界的にみても長いメインストレートを見渡すことができるメインスタンド、メイン ストレートでスピードが乗った状態からのフルブレーキングによる進入を見ることができる第1コーナー、大きなカーブを描き、次のヘアピンに向けてのライン 取りが重要な100R、高低差があり細かなカーブが続く第13コーナーやプリウスコーナーなど、多数の観戦ポイントがあります。
ギャラリーの皆さんは、それぞれお気に入りのポイントを見つけて走行会を見学し、乾いた音を立てて疾走するロータスに感嘆の声を上げていました。
続いて、全国から富士スピードウェイに集合した往年の名車から現行モデル。その中から、ロータスの代表的なモデルを紹介していきましょう。
セブン(SEVEN)/スーパーセブン(SUPER SEVEN)1957年~
1957年、エリートと共にデビューしたセブンは、いわゆるキットカーとして発売され、ベースモデルに対してより高性能なエンジンをチョイスしたものが スーパーセブンと呼ばれました。1973年にその製造販売権を、当時ディーラーであったケータハム社へ売却します。その後、ケータハム・スーパーセブンと して今日まで生産が続けられ、世界中のロータスファンの期待に応えています。
初代エリート(ELITE)1957年~
1957年にセブンと共に発表されたロータス初の市販モデルです。画期的なFRPフルモノコックフレームの軽量ボディに、消防ポンプ用エンジンメーカーで あったコベントリー・クライマックス社による高出力エンジンと優れた操縦性、さらに流れるような美しいボディラインがロータスファンの心をとらえました。
初代エラン(ELAN)1962年~
エリートの後継として設計され、1962年にデビューしました。ロータスとして初のバックボーンフレームを備え、それにFRP製のボディを纏っていまし た。シリーズ1からシリーズ4、FHC(フィクスト・ヘッド・クーペ)とDHC(ドロップト・ヘッド・クーペ)、また2+2等のバリエーションも豊富で、 1975年の生産終了まで、この時代のロータスを代表するモデルとして活躍しました。
コルチナ(CORTINA)1963年~
ツーリングカーレースに参戦を始めたフォードのファミリーサルーンであるコルチナGTをベースにロータスのテクノロジーを注ぎこんで開発されたのがこの ロータス・コルチナです。1.5リッターでスタートしたエンジンは、最終型では2.0リッターまで拡大され、レース、ラリーで大活躍し、フォードのスポー ツイメージのアップと、ロータスの技術の優秀さを広め、1966年まで生産されました。
ヨーロッパ(EUROPA)1966年~
ロータス初のミドシップにエンジンを搭載したヨーロッパは、1966年に発表されました。以降、1972年登場の最終バージョンであるスペシャルまで、エ ンジンやトランスミッションに様々な改良を加えられ、1975年まで生産されました。日本では、当時のスーパーカーブームの立役者となったモデルとしても 有名です。
二代目エリート(ELITE)1974年~
1974年、11年ぶりに復活したエリートの名称とともに登場したこのモデルは、ロータス初の4シーターで、やはりロータスとしては初のパワーステアリン グやエアコン、また後にはATも選択できるようになっていました。このように、従来の路線からよりラグジュアリーなモデルへの転換を図った最初のモデルと いえます。
エスプリ(ESPRIT)1975年~
ヨーロッパの後継として1975年にデビューしたエスプリは、ロータスがそれまでのライト・ウェイト・スポーツ路線からラグジュアリーモデルへの転換を 図った最初のモデルです。ジウジアーロデザインの斬新なウェッジシェイプのボディとともに、2004年の生産終了まで長くロータスを代表するモデルとして 活躍しました。映画「007シリーズ」のボンド・カーとして、また「プリティ・ウーマン」でも印象的な使われ方をされていました。
二代目エラン(ELAN)1989年~
このモデルが発表された1989年は、ロータスがGMの傘下にあった時期で、多くのコンポーネンツをGMグループより調達していました。その最大の特徴は 駆動方式がFWDであったことです。ロータスがブガッティ傘下となった1995年まで生産され、その後韓国の紀亜自動車にその生産設備一式は売却されまし た。
エリーゼ(ELISE)1995年~
エリーゼは、1995年9月のフランクフルトショーでデビューした2シーターのモデルです。
航空技術を取り入れた接着式のアルミシャシーとFRPのボディにより軽量化を実現しています。布製の着脱式の幌を外すと、タルガトップ形態のオープンとなります。
ミッドシップに搭載されるエンジンは当初、ローバー製の18Kが搭載されていましたが、2004年からトヨタ製の2ZZ-GEをラインナップに追加、現行モデルはすべてトヨタ製エンジンとなっています。
340R 1998年~
340Rは、1998年10月のバーミンガムモーターショーでデビューした、サイドウインドウ、ドア、ルーフも備わらないスパルタンなモデルです。ボディ は徹底的に軽量化され、車両重量はわずか680キロ。エンジンはローバー製の18K(1796cc直列 4 気筒 DOHC)を搭載し、178psを発揮します。
340Rは340台の限定生産で、日本には30台が正規輸入されたといわれています。
エキシージ(EXIGE)2000年~
エキシージは、エリーゼのワンメイクレース用に開発されたスポーツエリーゼをベースとしたモデルです。エリーゼとの外観上の違いは、クローズド化されたクーペボディで、エンジンはエリーゼよりも高出力のものが搭載されています。
ヨーロッパS(EUROPA S)2006年~
ヨーロッパSは、2006年2月のジュネーブショーでデビューした2シーターのモデルです。エンジンはオペル(GM)製の20LER(1998cc直列 4 気筒 DOHCターボ)をミッドシップに搭載し、200psを発揮します。
2008年3月からは、エンジンの出力特性を変更し、最高出力を25ps増しの225psとしたヨーロッパ225が追加発売されました。
2-イレブン(2-ELEVEN)2007年~
2-イレブンは、2007年3月のジュネーブショーでデビューした、ウィンドシールド、幌、エアコン/ヒーターも備わらないスパルタンなモデルです。車両 重量はわずか745キロ。エンジンはトヨタ製の2ZZ-GE(1795cc直列 4 気筒 DOHC空冷式インタークーラー・スーパーチャージャー)を搭載し、255psを発揮します。
レーシング本コースで走行会が行われる中、Aパドックに設置されたステージでは、トークショーなどの催し物が行われました。
トークショーの参加者は、関東のFMラジオ局J-WAVEでおなじみのピストン西沢さん、スーパーカーブームの火付け役となった漫画「サーキットの狼」の作者 池沢 早人師さん、レーシングドライバーの荒聖治さん、高橋一穂さんです。
トークショーは、ピストン西沢さんによるテンポの良い進行により行われ、ゲストの皆さんから、ロータスの魅力、ロータスカップ・ジャパンへの参戦について、ファンへのメッセージなどのお話を伺うことができました。
エリーゼSと2-イレブンのワンメイクレースである「ロータスカップ・ジャパン」は、マシンのパワーを使いきれる歓びがある一方で、イコールコンディションゆえの難しさもあるとのことです。
ロータスの魅力としては、車体重量が軽いことにより、タイヤやブレーキパッド等の消耗も少なく、メンテナンスコストが安いので、どんどん走りこむことができるそうです。
ステージではコンクールエレガンスやじゃんけん大会なども行われました。
コンクールエレガンスは、池沢 早人師さんが厳選された車両のオーナーが表彰され、じゃんけん大会では池沢 早人師さんのサイン入りグッズなどが争奪されました。
盛況に終わったJAPAN LOTUS DAY 2009(第1回ジャパンロータスデイ2009)。2回目、3回目と更なる飛躍を図り、1,000台規模のミーティングにしたいとのことです。
車種別に整列駐車された新旧のロータスをじっくり観察する楽しさ、サーキットを元気良く走るロータスを見学する楽しさなど、楽しみ方はいろいろあります。
特にこのイベントは、ロータスのオーナーで無い方も一般見学者として入場することができます。次回はぜひ参加をご検討されてはいかがでしょうか?
○ロータスについてはこちらから
LCI Limitedオフィシャルサイト
http://www.lotus-cars.jp/
参加車両(走行会カテゴリー別)フォトギャラリー
参加車両(モデル別)フォトギャラリー
本記事の取材は、2009年9月に行いました。