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ルノーのデザイン戦略

2014年12月8日


~人生を6つのステージに分け、それぞれのステージごとにリンクしたデザインを提案~

ルノーのチーフデザイナーである、ローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏は、2009年にその職に就任した際、ルノーの新しいデザイン戦略の構築に取り掛かり、ルノーの新しいデザイン戦略である「サイクル・オブ・ライフ」を作り上げました。

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サイクル・オブ・ライフとは、ルノーが企業理念としている「人を中心とした車づくり」を出発点としたもので、人と人が出合い恋に落ち(LOVE)、ふたりは世界中を旅し(EXPLORE)、家族を持ち(FAMILY)、働いて充足し(WORK)、余暇を楽しみ(PLAY)、そして賢さを得る(WISDOM)と、人生を6つのステージに分け、それぞれのステージごとにリンクしたデザインが提案されています。
このデザイン戦略に沿って作られるモデルは、「曲線で全てを構成するデザイン」となっているのが特徴です。

このたび、ルノーデザインアジアスタジオの代表者である、クリストフ・デュポン氏から、最新のルノーデザインについてお話を伺う機会を得ましたので、その詳細を冒頭のルノー・ジャポン 大極社長のご挨拶と合わせて皆様に紹介させていただきます。

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ルノー・ジャポン 大極社長 ご挨拶

クルマを比較する時に、スペック、安全性、燃費、価格など色々なポイントがありますが、中でもデザインは1番重要な要素だと思っています。ルノーはデザインを戦略の中心に置いており、シンプルに「カッコいいクルマに乗りたい」という気持ちを大切にしています。2009年にルノーの常務デザイン担当に就任したデザイナーのローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏は、ルノーの企業理念である「ヒューマン セントリック(人を中心とした車づくり)」をいかにデザインに落とし込むか、という課題に取り組みました。彼が出した答えは、曲線で全てを構成するデザインをつくる、ということでした。これは、人間にも自然界にも直線は存在しないことから、人間らしさ、自然らしさをデザインで表現するためには曲線が必要であるという発想から生まれたアイデアです。

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さらに、人の人生を6つのライフステージに分けた1つのサイクルと捉え、ステージごとにリンクしたデザインを提案しました。この「サイクル・オブ・ライフ」の最初のステージのテーマが(LOVE)であり、出会って恋に落ちたふたりが人生をスタートします。このテーマを表現したクルマがルーテシア。次のステージではふたりが世界中を旅(EXPLORE)します。これはキャプチャーのデザインテーマになっています。ルーテシアとキャプチャーの2つのモデルは、ヨーロッパの特定のセグメントでNo.1のシェアを記録しました。また、ルーテシアは、日本カーデザイン大賞の「ゴールデンマーカー賞」を受賞し、日本でもそのデザイン性が評価されています。

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ルノーは、「好きを走れ」のテーマの通り、好きなことを貫いていくライフスタイルに共感します。そして、ルノーと言えばデザインである、と言われることを目指して、これからも邁進していきたいと思います。

クリストフ・デュポン氏 プレゼンテーション

まずはルノーのデザイン組織についてお話したいと思います。ルノーのデザイン事務所はパリ近くのテクノセンターの中にあります。世界で約500名がデザインに関わる仕事をしており、大多数がここで働いています。技術が高く、情熱を持ったすばらしいデザインチームは、29以上の国籍から成り、多種多様な文化が混在しています。クリエイティブな組織の成功には、多様な文化が必要不可欠です。

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ルノーにはルノー、ダチア、ルノーサムスンモーターズ、最近加わったアルピーヌの4つのブランドがあります。

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ルノーのデザインスタジオは、ルーマニア、韓国、インド、ブラジル、9月に開設したデザインマーケット戦略に特化した北京事務所があります。

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続いて、2009年に新しくデザインチーフに就任したローレンス・ヴァン・デン・アッカーのもとに始まったデザイン戦略についてお話します。よいデザイン戦略とは何か。明確な戦略を掲げたブランドを1例にみてみましょう。あるメーカーは究極のドライビングマシンを提供するという目的を商品化することで、お客様との約束を明確に果たしています。数年前のルノーは目的が不明確で、商品もそれを表現したものになっていませんでした。メーカーによって理念は異なるものです。クルマ中心の考え方をするメーカーがあったり、地球環境を中心とした考え方をするメーカーがあったりする一方、ルノーは人を中心に考えたクルマづくりをしています。わたしたちのクルマは人のためにデザインされています。最も成功した製品は、特に機能的、実用的、使いやすいことからも、その重要性は明らかです。こうしてわたしたちは人の人生をデザイン戦略の中心におくことにしました。

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ルノーのラインナップはとても充実しています。アルピーヌや初代トゥインゴに代表されるような象徴的なクルマから、クロスオーバー、MPV、商用車、ルノースポール、電気自動車まで、幅広いラインナップです。

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人生のそれぞれのサイクルにおいては、常にクルマとの関係を見出すことができます。
「サイクル・オブ・ライフ」には、人と人が出会い恋に落ち(LOVE)、ふたりは世界中を旅し(EXPLORE)、家族を持ち(FAMILY)、働いて充足し(WORK)、余暇を楽しみ(PLAY)、そして賢さを得る(WISDOM)という6つのライフステージがあります。そしてこのステージごとにクルマのコンセプトが決まります。(LOVE)はアルピーヌや初代トゥインゴ、(EXPLORE)はクロスオーバー、(FAMILY)はMPV、(WORK)は商用車やビジネスセダン、(PLAY)はルノースポール、(WISDOM)は電気自動車です。このようにして、ルノーのデザイン理念のもと、「サイクル・オブ・ライフ」のそれぞれのステージを表現するクルマをデザインする計画が始められました。

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最初の人と人が出会い恋に落ちるステージは、情熱と感情であふれるデザインのクルマである必要がありました。それはお客様にこのクルマにひとめぼれをしてほしかったからです。とてもセクシーで、なめらかな曲線でつくられたスポーツカー、デジールの誕生です。

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デジールに続き2011年のジュネーブにおいて、次のステージ(EXPLORE)のモデル、キャプチャーを発表しました。キャプチャーは内装にも凝った力強いコンパクトクロスオーバーです。キャプチャーの内装は日本人デザイナーによって手掛けられました。先ほど述べたように、フランスで働く日本人デザイナーが居ることは、ルノーには多様な文化が存在していることの1例です。

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(EXPLORE)に続く(FAMILY)のステージでは、キャプチャーと同時期にRスペースを導入しました。機能的でかつ感情に訴えるデザインのRスペースは、それまでのファミリーカーとしてのMPVはつまらないという常識をやぶりました。

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2011年の後半には、(WORK)のコンセプトカーとしてフレンジーを導入しました。フレンジーは未来の商用車の姿をかたちにしました。フレンジーは、平日は仕事用、週末はファミリーカーとして使うこともできます。

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次の(PLAY)ステージには、2つの解釈をしています。1つ目のトゥインジーはミラノで2013年4月に行われた家具の展示会で登場しました。イギリスの有名なデザイナー、ロス・ラブグローブ氏が起用されています。

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もうひとつのモデル、トゥインランはストリートレースカーとして、2013年5月のモナコF1レース期間中に発表されました。

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最後の(WISDOM)のステージでは心を開くことがコンセプトです。イニシャルは、大きい革新的なファミリークロスオーバーのコンセプトであり、エスパスのリニューアルでもあります。

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コンセプトカーを一みてみると、ルノーのデザインがこれまでより遥かに感情的なデザイン志向になっていることがわかります。人を中心に考えるルノーのブランド理念を、「シンプル」「官能的」「温かみ」いう3つの言葉に表しました。しかし、ラインナップに共通するデザイン言語を明確に定義付けするだけでは不十分です。一目でそれとはっきり分かることが必要だったのです。わたしたちはロゴをフロントフェイスの一番強調するポイントにしました。

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ロゴは従来に比べて大きくなり、常に黒い背景に縦のラインを意識しています。フロントグリルのかたちはロゴを彷彿とさせます。ルノーの製品はそのロゴによって認識することができます。そして、全てのラインナップに共通のブランドカラーをもたせると同時に、それぞれに異なる個性も大切にしています。

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デザイン言語は、「シンプル」「官能的」「温かみ」。「サイクル・オブ・ライフ」を構成する6つの個々のコンセプトに基づいたコンセプトカー戦略。これらの戦略を製品に訳し、落とし込むことで、コンセプトと製品のつながりを明らかにすることができました。コンセプトに基づいてつくられた製品を通じて、私たちはストーリーを伝えています。2012年登場したクリオ(日本名 ルーテシア)IVは、デジールと同じ時期に同じデザイナーによってデザインされたので、コンセプトカーの影響を強く受けました。

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クリオのゴールはとてもシンプルで、お客様にもう一度ルノーブランドに恋してもらう、ということでした。クリオのデザインは非常に魅力的で、モーターショーでは愛、情熱、感情の3つのキーワードを伝えることができました。2012年のパリモーターショーで、クリオは圧倒的な存在感を見せていたのです。

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そして、キャプチャーは、革新的で実用的な特徴を有した、ダイナミックなコンパクトクロスオーバーです。

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有名なデザイナーであるレイモンド・ローウィは、「最も美しい線というのは、上昇する売り上げの折れ線グラフだ」という言葉を残しています。

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ルノーのBセグメントにおける市場シェアは、2社の競合相手と比較して、2007年に2位、2012年に3位を記録した後、クリオとキャプチャーの販売好調に後押しされて、2013年に1位に返り咲いています。キャプチャーは我々の想像を超える成功を収めており、BセグメントではNo.1のクロスオーバーとなりました。しかしここで歴史が終わるものではありません。今後もデザイン戦略に基づいてつくられたクルマを世に送り出していくからです。

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最後に9月のパリモーターショーで発表された新しいトゥインゴについて紹介します。未だ日本への導入は決まっていませんが、日本に来ることを期待しています。新しいトゥインゴは遊び心にあふれた、新しいクルマです。特徴的なフロントフェイス、可愛い特徴、デザイン性にあふれたインテリアで、明るいたくさんのカラーバリエーションを用意しています。

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○ルノー・ジャポンについてはこちらから
ルノー・ジャポン オフィシャルホームページ
http://www.renault.jp/

本記事の取材は、2014年10月に行いました。