JAIA 日本自動車輸入組合
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輸入車のアフターサービス特集(6) ポルシェセンター 世田谷

2009年4月21日


~ 東洋一の設備とマイスター制度のもとで、お客様に最高の技術を提供 ~

日本自動車輸入組合(JAIA)は、輸入車ディーラーのサービスに対する取組みを特集で紹介することと致しました。
各ディーラーのサービス部門が、お客様に安心して輸入車にお乗りいただくために、どのようなことにこだわっているのか、感じ取っていただければ幸いです。

連載第6回目は、ポルシェを取り扱う東京都世田谷区のポルシェセンター世田谷をご紹介します。

ポルシェセンター世田谷は、世田谷通り沿いの環状7号線と環状8号線に挟まれたエリアに位置しています。付近は東京農業大学や馬事公苑がある緑多い地域で す。世田谷通りを走れば、最新のポルシェCI(コーポレート・アイデンティティ)を全面に取り入れたショールームが目に飛び込んできます。

ポルシェセンター世田谷 外観

東京都内には、今回ご紹介する世田谷のほか、浜田山(杉並区)目黒(目黒区)銀座(港区)の4拠点のポルシェセンターがあります。中でも世田谷は、新車ショールームに展示車を約10台配置可能という大きな拠点ですが、サービスでも主要拠点であり、雑誌等にもしばしば登場するお店です。

新車ショールーム

今回の訪問では、ポルシェセンター世田谷 アフターセールス部 部長兼工場長の小俣 円二さんにお話を伺いました。小俣さんは、ポルシェのサービスに携わって30年以上というベテランメカニックです。

-こちらのサービス工場は国内有数の規模と聞いています。

ショールームに隣接するサービス工場には、カーリフトが18基とアライメントテスターがあり、設備内容は国内のポルシェセンターで最大規模です。また、ポルシェジャパン(株)によると、東洋一の規模と言われています。

車両整備を行うサービス工場

現在、20名のサービス・テクニシャンが在籍しており、月間400~500台程度のペースで入庫車の整備や車検を行っています。

また、PIWISテスターと呼ばれる最新の診断テスターを3台使用しています。

最新型テスターのPIWIS

迅速な整備に欠かせない、ポルシェのスペシャルツール(専用工具)も多数用意しています。

スペシャルツールの数々

部品供給については、ポルシェジャパンは、各拠点の消耗品・パーツの使用量をオンラインで把握し、在庫が減ると自動的に必要量が配送されるシステム(ASR)を取り入れているので、お客様にご不便をかけない万全の体制となっています。

-ポルシェセンター世田谷は、整備・修理の技術の高さでも定評あるお店と聞きましたが?

当店には、ポルシェ・マイスターの資格を持つメカニックが2名います。マイスターの資格を持つテクニシャンは全国でも8名しかおりませんが、うち2名が世 田谷在籍です。低年式車や356(※1)のようなレアモデルの修理・整備も対応できます。カレラGTの修理も時々行っていますが、カレラGTの整備は、販 売店の設定レベルにより内容が規定されています。ポルシェセンター世田谷は日本において最高レベルの整備・修理に対応できる販売店になっております。

(※1) 1948年から1965年まで生産された、リアエンジン・後輪駆動のルーツとなるモデル。

-マイスター制度についておしえていただけますか?

ポルシェ・マイスター制度」は、ポルシェのサービス資格で、ポルシェの整備に求められる高い技術力や、接客に必要な英語力を備えたサービス・テクニシャンのみに与えられるものです。当店のマイスターの1人は、2000年度のポルシェ・サービス・カップで世界第2位の成績を取りました。

この制度では、マイスター(1級に相当。最上級資格)の他に2級、3級があります。取得には、ポルシェジャパンの通信教育を受講しつつ、日々、現場で技術 力を磨くことが必須です。メカニックとして入社した社員は、まず3級から始め、実技と社内テストをクリアし上級を目指すことになります。

ポルシェ・マイスター資格

メカニックは、仕事が終わった後も資格取得に向け勉強していますが、試験が近づくと休日返上で出勤し、修理技術の習得に余念がありません。当店のマイスターの1人は、取得前、これ以上はできないというくらい勉強していましたよ。

認定試験独特の難しさとして、例えば、腕のいいメカニックなら故障個所が五感で分かってしまう場合でも、試験では故障診断も手順どおりに進めないといけないので、手順を飛ばしてはいけないんですね。また、腕はマイスター級でも、語学で泣かされるものもいます(笑)

-社内では、メカニック育成にどのように取り組んでいますか?

最近では、当店で採用するメカニックのほとんどは理工系専攻の大卒者で、入社後に1級自動車整備士(国家資格)を取得しています。ポルシェ専門のメカニックとしてゼロから育てたいという会社の方針です。

これは、昔の技術者が採用していた「師弟制度」を重要視しているからです。新人のメカニックの場合、入社後半年から1年間は先輩がつきっきりで指導し、整 備のイロハを徹底的に学びます。知識だけでなく、ネジ絞めの基礎、工具の持ち方、ケガをしない扱い方など現場での振舞いを体得するところから始めます。

私も、入社したばかりの頃は、先輩に手取り足取り指導していただきました。そのためか、今でも、昔お世話になった先輩には頭が上がりません。

現在の整備では、テスターの利用が重要な役割を占めていて、特に水冷モデルではテスター抜きには整備ができないと言えるほどですが、一方で我々は、メカ ニックの経験と勘による整備も大切だと考えています。同じ故障なら、テスターに頼らなくとも、異音や振動の変化を五感で感じ取り、より素早く原因を見つけ られるメカニックの方が優秀ですよね?お客様をお待たせしないためにも、こうした経験と実力を身につけることを重視しています。

-整備情報やノウハウの共有化についてはいかがでしょうか?

整備や故障に関する情報は常に共有しています。故障個所の発見は丸1日かかることもありますから、新しく見つかった原因などの情報は、社内はもちろん、ポルシェジャパンを通じて拠点間でも共有されます。
当店は、ポルシェセンター目黒とも会社が同じで、どちらも入庫台数が多い拠点ですので、整備情報の収集・共有という点でも有利です。お互いに連絡を取り合って、ノウハウを交換しています。

また、ポルシェジャパンは、年に4回、各拠点の代表者を集めて、修理対応で悩んだ点や対応方法について勉強会を開催し、情報を共有しています。これにより、修理対応の迅速化を図り、お客様満足度の向上に繋げています。

新モデルの整備情報も同様です。今後導入が予定されている「パナメーラ」にもさまざまな新技術が採用されてきますので、導入に備えて勉強しています。

-「ポルシェは高級車なので、修理費用も高額なのでは」と考える方もいると思われますが?

新車には、登録後2年間(認定中古車は1年間)は保証が完備されており、修理費用は、ほとんどかかりません。整備コストについては、空冷時代の911シリーズのイメージが尾を引いているのかなと思います。

964(※2)までは、空冷の特徴としてバルブクリアランスの調整が必要で、プラグ交換などと同時に行うと、工賃が高くなりがちでした。でもバルブクリア ランスは993(※3)以降不要になりましたし、水冷化された996(※4)からは、空冷に見受けられたオイル漏れもほとんどなくなりました。

(※2) 1988年に登場した3世代目の911シリーズ。エンジンが3.6Lになり、エアコンとパワステが標準装備された。
(※3) 1993年に登場した4世代目の911シリーズ。空冷エンジンでは最後のモデルとなる。
(※4) 1997年に登場した5世代目の911シリーズ。水平対向6気筒エンジンが水冷化された。

オイルの種類も高分子タイプの粘度の低いオイルに変更され、燃費も向上しました。かつての粘度が高いオイルですと、冬場など気温が低い時にオイルが固くな り、バッテリーが弱くなっているとスターターの回転が重くなって、何度も回そうとするうちに本格的にバッテリー上がりになってしまう(笑)ということもあ りましたが、空冷時代のこうしたトラブルも減りました。

ポルシェ全体として、品質はかなり向上しています。プラグなどの消耗品のロングライフ化も進んだため、オーナーさんのランニングコストも随分下がりました。

工場屋上には整備待ち入庫車が待機

板金修理も実は高いものではありません。作業はポルシェ熟練の工場に依頼していますが、ポルシェに携わって10年以上、長い方ですと40年という腕の良い職人さんにお願いしています。工賃も国産ディーラーと同じ程度ですので、この点もご安心いただけると思います。

品質向上の結果と言っては何ですが、お客様の来店頻度は結果的に下がっています。一昔前は、トラブルが発生する度に、お客様がご来店頂き、我々サービスス タッフと顔馴染みになることもありました。そういう意味では、今はお客様とお話する機会が少なくなり、寂しく感じることもありますね。

-クレーム対応の取り組みはいかがですか?

お話ししたように、品質向上により、初期不良はほとんどありません。
また、「ポルシェエマージェンシーサービス24(※5)にご加入いただいていれば、トラブル発生時にレッカーの手配とその後のご移動のサポートもできます。新車の場合2年間は無償ということでご好評をいただいております。


(※5) ポルシェエマージェンシーサービス24
正規販売店で購入したポルシェユーザーが会員となることができ、万一、トラブルにより走行ができなくなった場合、ポルシェジャパンが全面的 にお客様のカーライフをサポートするシステム。車両の応急措置、レッカーの手配、お客様のご家族への連絡等、あらゆる事態に全国どこからでも365日・ 24時間フリーダイアルで対応が可能。

さらに、当店でご購入いただいたお客様が引越し等により遠方に移られた際には、アフターサービス等の日々の対応を転居先付近の拠点へ引き継ぎ、新しいお店でも変わらずお客様との関係が続くようにしております。

-ところで、小俣さんご自身は、なぜ、ポルシェのメカニックになられたのですか?

やっぱり、ポルシェが好きだからです。自分でも、勉強を兼ねて何台かポルシェに乗ってきました。昔、お世話になったメカニックの先輩から、他のクルマと比べて、ポルシェの性能が最も際立っているのはブレーキだと教わったことがあります。

今回お話を伺った工場長の小俣さん

例え話ですが、ポルシェで高速道路を走行中、追突を避けるため急ブレーキを踏むとしたら、周りのクルマに注意して踏めと教わりました。自分のポルシェが停 止できても、ブレーキ性能が違う後ろのクルマは止まれないかもしれないから、と。試しにブレーキの構造を確認してみると、納得できました。

他のメカニックたちも、みんなポルシェが好きなんですね。私は工場管理の仕事が中心になってしまいましたが、今でも夜中に古いモデルを整備したりしていると、メカニックの仕事に没頭できた頃は良かったな、なんて思いますね(笑)

強力なブレーキ性能を誇る

かつて先輩が自分を一人前のメカニックとして育ててくれたように、今は、現場を預かる責任者として自分が後輩を育てる時代となり、技術の伝達などの人材育 成を行っています。工場長としての仕事もあり、毎日遅くなりがちですが、後輩の成長を見るのが楽しいのでそれも苦にはなりません。

-本日はどうもありがとうございました

○ポルシェセンター世田谷についてはこちらから。
http://www.porsche.co.jp/dealers/pj_setagaya_index.php

○ポルシェについてはこちらから。
http://www.porsche.com/japan/jp/

ポルシェセンター世田谷 フォトギャラリー

本記事の取材は、2009年2月に行いました。