JAIA 日本自動車輸入組合
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第20回ITS世界会議東京2013

2013年11月12日


~情報通信を利用した最新技術の紹介に海外メーカーも積極的に参加~

ITS(Intelligent Transport Systems)は、「高度道路交通システム」と言われ、安全で円滑な交通環境やエネルギーの効率的運用に向け、車両、道路、人を結ぶ様々な安全装置の開発が世界的に進められています。

ITS世界会議はこれら先端技術に関して産官学が参加する唯一の国際会議で、技術開発、政策、市場動向等、幅広い視点で議論と情報交換が行われます。
この会議は1994年の第1回開催(パリ)から、欧州、米国、アジア太平洋の3地区の持ち回りで開催されますが、20回目を迎えた今回は東京で開催されました。

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JAIA会員各社も最新のITS技術をデモンストレーションしていましたので、その概要をご紹介します。

BMW

・プレミアム・アクティブ・クルーズ・コントロール/衝突回避・被害軽減ブレーキ

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BMWのプレミアム・アクティブ・クルーズ・コントロール(プレミアムACC)は、停車中の車両に対しても制動するACC機能と衝突回避・被害軽減ブレーキの両方の機能を兼ね備えています。このシステムはフロントウインドゥに搭載されたカメラと、フロントグリルに搭載されたフルレンジレーダーの組み合わせによって可能となります。

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走行デモンストレーションでは、このACCの支援による都市部での日常的な運転でおこりうる状況(交差点での先行車の停止や、走行中における前方への他社の割り込み等)による自車両の追従や停止などの自動制御が体験できました。

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また、衝突回避・被害軽減ブレーキでは、時速40Km/hから停止している模擬車両(ターゲット)への衝突回避(衝突警告から自動フルブレーキ)の体験ができました。

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・BMW SOSコール

追突などの非常事態の際、携帯電話回線を利用してコールセンターに接続して迅速かつ的確な支援が提供されます。

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たとえばエアバッグが展開するような深刻な事故が発生した際、BMW SOSコールが車両から自動的に発信されます。コールセンターの専門のスタッフが車両からの送信を受け、救急や消防といった機関に通報。乗員に必要な支援を行います。
同時に、衝突の状況、乗員数、モデル名、ボディ・カラーといった救急機関が必要とするデータを、車両の正確な位置とともに伝えます。これにより、必要な救急活動をより速やかに行うことができます。

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会場ではテスト送信を行い、オペレーターとの会話や、万が一意識を失っていても必要な車両情報が送信される様子がデモンストレーションされました。

キャデラック

・キャデラック・アダプティブ・クルーズ・コントロール

GMが開発したキャデラック・アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)が公道でデモンストレーションされました。

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車両にはフロントグリルのキャデラックのオーナメントにセットされたミリ波レーダーと、フロントガラスにセットされたカメラが検知した情報をもとに、自動的にスロットルとブレーキが必要に応じて作動し、交通の流れが良い時も渋滞時でも機能することが体験できました。

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このACCは追従走行の速度と車間距離の選択、前面衝突時の警報、クルーズ・コントロールの設定などきめ細かな案内と制御を行っています。

ボルボ

・アダプティブ・クルーズ・コントロール&パーク・アシスト・パイロット

ボルボは、車間を保ち追従走行するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、車両の死角を見守るブラインドスポット・インフォメーション・システム(BLIS)、車線逸脱を感知し、車線内にとどまるようにステアリングを穏やかに修正するレーン・キーピング・エイド(LKA)、道路標識をカメラが読み取りメーターに表示するロード・サイン・インフォメーションシステム(RSI)、パーク・アシスト・パイロット(PAP、縦列駐車支援)のデモンストレーションが行われました。

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今回の車両には、フロントグリル内に中近距離用ミリ波レーダー、フロントガラスに近距離用赤外線レーザーと物体認識用のカメラ、そして左右後方を検知するミリ波レーダと車両周りの障害物を検知する超音波ソナーが車体の前後に備わるなど、たくさんの検知装置が装備されています。

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これら装置から得られる情報を車自身が解析し、例えばACCで走行中でもカメラが人やサイクリスト、走行中の車両を前方に検知して危険な状況に至るケースと判断すれば自動的にブレーキをかける、
また、左右後方から急速に接近する追い越し車両が来た場合は警告ランプが光る、更に車線を逸脱しそうな場合はステアリングを穏やかに修正、それでも逸脱してしまいそうな場合には振動を与えて警報を発するなど、運転支援に寄与する的確な状況把握と車両制御が行われていることが体験できました。

駐車場に戻ったあとは、パーク・アシスト・パイロット(縦列駐車支援)のデモンストレーションが行われました。
これは、スイッチ操作により左右どちらかの路肩の適切な駐車スペースを自動的に検知し、その後ドライバーは前進後進のギア選択とアクセルとブレーキ操作だけで、ステアリング操作はクルマが自動で行い、駐車スペースに従列駐車する様子がデモンストレーションされました。

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その他の展示

・通信利用型先進安全自動車(ASV)

今回のITS世界会議では、自動車メーカーの展示・デモのほかに、政府や公的機関が研究を進めている技術の展示・デモも行われました。

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その中で国土交通省自動車局、ASV推進検討会(ASV5デモ対応タスクフォース)、ASVメンバー会社等が推進する先進安全自動車(ASV)において、実用化に向けた検討を進めている通信利用型先進安全運転支援システムの一例が紹介されました。

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これは、車車間通信や歩車間通信を利用して他車両や歩行者の動向を認識し、ドライバーから認識しづらい(見づらい)場所または不注意で見落としてしまうようなところでの事故を防止するために、ドライバーに車両や歩行者の接近情報を提供するシステムです。

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このデモにはJAIA会員からフォルクスワーゲングループジャパン株式会社が参加しました。

9年ぶりに日本で開催されたITS世界会議ですが、自動車の事故防止、効率的な運行、そして環境配慮に至るまで、エレクトロニクスを活用した様々な技術が実用化され、次世代のITSが実感できる充実したものでした。

ここまでご紹介してきた数々の安全装備は、通信利用型先進安全自動車(ASV)を除き、既に実用化されて市販車に装着されているものです。
しかし、これら装備はクルマが勝手に自動運転するものではなく、ドライバー皆様の運転支援を行うことで、より快適に安全なドライブを楽しんでいただくための装備です。
文章ではほんの一部分しかお伝えできませんので、ぜひ実際のお車をご覧いただくことをお勧めします。

お気軽に各社のショールームに足をお運びいただきたいと思います。

本記事の取材は、2013年10月に行いました。