JAIA 日本自動車輸入組合
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「憧れから身近へ」個性豊かな輸入車を 日下部保雄さんとJAIA梅野理事長が語りました

2007年5月28日


日本輸入自動車組合(JAIA)は、昨年12月にホームページをリニューアルオープンしました。まだ、輸入車を所有したことがない方々に少しでも興味関心をもって頂くため、明るく楽しい雰囲気のページデザインはもちろん、輸入車の魅力を少しでも感じ取って頂けるようなコンテンツ作りを心がけています。

今回は、日本自動車ジャーナリスト協会会長の日下部 保雄さんとJAIAの梅野 勉 理事長(フォルクスワーゲングループジャパン株式会社代表取締役社長)に「輸入車の魅力」を語り合っていただく対談を企画しました。
日本を代表するモータージャーナリストであり名ラリードライバーである日下部さんは、内外の自動車について深い造詣をお持ちの方です。果たして、お二人の対談はどのような展開になるのか、興味は尽きないところです。

お二人には、輸入車の魅力について語って頂きたいのですが、まず初めて輸入車を意識されたのはいつ頃で、具体的にどんな印象だったのでしょうか?

日下部:私は東京神田の生まれで、実家はタクシー会社に土地を貸していました。そこで物心ついた時からクルマが身近にあったのですが、当時のタクシーは、大きなアメリカ車と小さなヨーロッパ車、そして一部日本車という構成でした。私は、そんな環境で育ったのです。

梅野:私は東京新宿の出身です。偶然にも日下部さんとは同い年で大学も同じですから、どこかで会っていたかもしれませんね。私は神楽坂の近くで育ち、都電に乗って通学をしていましたから、毎日車窓からクルマを眺めていました。子供ながらに印象に残っているのは、フルサイズのアメリカ車がシュルシュルシュルと音もなく走り去っていく様子です。日本車とは明らかに違う圧倒的な存在感は、今でも強烈に記憶に残っています。

日下部:日本車は、輸入車に対してチャレンジする存在でしたね。子供心に日本車と輸入車の違いがはっきりとわかり、「これは大変だ」と思っていましたから……(笑)

梅野:そのとおりですね。私がクルマに興味を持つようになったのは、高校生以降のことですが、国産車はまさにチャレンジャーだった時代といえるでしょう。東名高速や名神高速を日本車で走っているときに、圧倒的な性能の違いで抜き去っていくヨーロッパ車には、異次元の走りを見た気がしました。

日下部:たしかに、高速道路を走っていると、ヨーロッパ車は楽々と抜いていきましたね。高速安定性など、クルマの作り方がまったく違ったんですよね。

梅野:ファン・トゥ・ドライブはヨーロッパ車の魅力で、広い大地をまっすぐに粛々と走る……アメリカ車にはそんな魅力がありました。

日下部:たしかに、アメリカ車には憧れましたね。雑誌やテレビに出てくるアメリカ車の姿は、強烈なインパクトがありました。

梅野:アメリカ本国ではコンパクトなモデルでも、日本で見ると船のようでしたからね(笑)

日下部:そんなクルマが日本を走っているのを見かけると、それだけでアメリカという国に対する強い憧れを感じていました。当時アメリカ車は、アメリカ文化への憧れの象徴だったんでしょうね。

今、アメリカ車のお話が出ましたのでお伺いしますが、生産国別の輸入車の特性にはどのようなものがあるのでしょうか?

梅野:実際に、昔も今も個性豊かな輸入車はたくさんあります。それぞれの国特有の文化や作り手の国民性を反映させたクルマたちです。それが、輸入車の魅力であり存在意義なのだろうと思います。日下部さんがおっしゃるように、そのルーツはアメリカ車であり、日本人が憧れていたアメリカ文化や生活そのもの……つまりクルマや巨大な冷蔵庫などがアメリカ文化を象徴するものであり、憧れの存在だったわけです。

日下部:クルマにも、はっきりとお国柄が出ます。ドイツ車は、アウトバーンを高速で走るための抜群の安定性ですね。これは、日本車が頑張ってもなかなか到達しない領域です。イギリス車は、カントリーロードをスイスイと気持ちよく走れる。フランス車には小さいクルマが多いけれど、そのサイズでもみんな活発に走っています。フランスの山岳路では、年配の女性が元気よく走っていることもよくあります。もともと、クルマ自体がそのように作られているんですね。

梅野:アメリカ車のルーツがボートのように粛々と走るものだとすると、ドイツ車はアウトバーンで真価を発揮するように作られています。フランス車やイタリア車は、市街地や山岳路をしなやかにキビキビと走れるように作られているのでしょう。

日下部:フランス車には、コーナリング中にリアが流れやすいものも多く、ドライバーが運転を楽しむために、わざとそのように作ってあるんです。すごいところは、リアが流れるけど、きちんとコントロールできるところです。それも文化の違いだと思います。

梅野:イタリアのエキゾティックカーとドイツのスーパーカーとでは、ぜんぜん違いますね。乗りこなすことこそ楽しいんだというラテン系モデルに対して、ドイツ車は破綻なく押さえ込むというアプローチの仕方です。これも、それぞれの国のそれぞれのブランドの魅力であり、面白い部分ですよね。
ブランドの裏にある文化とか、人の気持ちを含めた生活文化や考え方、生活にどんな楽しみを見いだすかというライフスタイルを支えるものが、輸入車であるといえるのではないでしょうか。

輸入車を日本で乗ることで味わえる喜び、満足とはどんな部分でしょうか?

日下部:それぞれの国の文化に触れられるということだと思います。どんなクルマでもエンジンがあってタイヤが4本あって一見同じですが、文化が違うから走り方も違います。

梅野:JAIAメンバーが扱うブランド数は、世界でも有数のものです。まさに、世界に冠たる自動車大国日本といえるでしょう。それぞれのブランドの個性やユニークな部分に憧れを抱き、それを自分のライフスタイルに当てはめようと考えたとき、とても選択肢が多いのです。

日下部:走り方の違いもあると思いますが、ヨーロッパ車は総じて燃費がいい。いわゆる10・15モード燃費値よりも実燃費は好結果です。

梅野:高速で走り続けることが多いクルマと、そうでないクルマ。燃費も安全性も、クルマ作りの宿命として必然的にそれぞれの目的が違います。母国でのクルマに対するお客様や社会からの期待に沿うように、しっかりとクルマを作ってきたんですね。輸入車は、スペックに表れないところに、ドライバーをワクワクさせるような五感を通して味わえるような魅力が多いのです。

日下部:走りの部分では、国産車はまだまだ学ぶべきことが多いと思います。現在、輸入車はかなり趣味性が強い。だからユーザーも、より自分たちの個性を反映させたものが欲しくなるわけです。国産車はとてもいい機械だけれど、個性という部分では輸入車に優位性があります。

梅野:趣味性が強いという傾向から脱却し、もっと普通に、もっと合理的な考え方で輸入車を選んでもらえるようにしたいですね。今後、今以上にシェアを伸ばすためには、販売ネットワークが充実しているという点、ブランドの個性を反映させた店作りが実施されているという点、敷居が高いイメージがあるがじつはそうではないという点など、意外に一般ユーザーには知られていない部分をアピールしていきたいです。輸入車に乗ることを不安に思う要素は、もうほとんどないんだということは、あまり知られていないというのが現状です。輸入車に対して十分に理解を深めて頂いたうえで、国産車と比較して頂きたいものです。

輸入車が日本を走り始めた頃は、憧れに近い存在でした。しかし現在では、輸入車を乗るためのハードルは限りなく低くなっています。じつは、一般ユーザーの方たちが考えていらっしゃるよりも、輸入車はとても身近な存在であるということを、今後もこのホームページを通して知っていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

日下部 保雄さんプロフィール

大学卒業後モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。また、ジャーナリスト活動と並行して、セーフティドライビング・インストラクターとしても精力的に活動中。自動車メーカー主催のドライビングスクールにおいてインストラクターを多く努めるほか、自らも鈴鹿/もてぎの両サーキットを会場としたドライビングスクールを主催している。

梅野 勉 理事長プロフィール

2001年7月 フォルクスワーゲングループジャパン株式会社代表取締役社長就任
2005年7月 日本自動車輸入組合(JAIA)理事長就任

今回、モータージャーナリストとしてご活躍中の株式会社インク代表取締役 菊谷 聡さんにインタビューアーを、フォトグラファーの高木 博史さんに写真撮影をお願いしました。

本対談は、2007年4月に行われました。