理事長会見(2010年1月)
JAIAは1月20日(水)、理事長会見を開催いたしました。
会見主旨は、以下の通りです。
会見主旨

ハンス・テンペル 理事長
【景気動向】
2009年は、日本の自動車市場が底を打ち、回復へ向けて歩みだした年であったことを願っている。
金融危機により、日本経済は他の先進諸国と比較しても最も大きな打撃を受け、その結果、日本の自動車市場は30年前の水準にまで落ち込んでしまった。
しかし、世界経済は徐々に回復基調にある。新興国を始めとする一部の国ではすでに成長に転じており、また様々な施策により改善に向かっている。
一方、国内の経済は、デフレ等の影響もあり、さらに下向くリスクを含んでいる。
【国内自動車市場】
自動車業界は、世界的にこの金融危機により大きな打撃を受け、それは日本において特に顕著であった。同時に、自動車産業はクルマをより環境に配慮した、また燃費の良いものへとシフトすることが求められており、これは、需要の活性化という点においては大きなチャンスであるが、この収益が落ち込んでいる時期には大きな負担にもなっている。
日本の乗用車市場は、軽自動車を含め前年比7.2%減少し、1980年代後半以来、400万台を割り込む結果となった。日本には軽自動車という、海外ブランドには無い日本独特の規格があるが、これを除いた登録車のみの実績では、約260万台となり、これは1970年代後半のレベルである。
輸入車においては、この市場全体の状況よりさらに縮小傾向にある。前年に対し17%減少し、海外ブランドの合計では16万台を割り込んでしまった。これは1990年代前半にバブル経済が崩壊し、縮小に向かっていた頃の数字である。
これは数字が落ち込んだということだけではなく、日本の自動車市場の構造変化という大いに懸念すべき問題を含んでいる。それはセダンからコンパクトカーへの移行ということであり、長い間人気を誇ったミニバンからのシフトも起こっている。
私どもの分析では、この状況は単に経済危機によるものだけではなく、ここ5年間での傾向としてあげられる人口の高齢化、消費者趣向の変化、またクルマに魅力を感じない若者が増えたことにより、クルマ離れに拍車をかけていると感じている。
【政府の自動車関連施策に対する見解】
昨年の自動車販売は、低水準であったが、4月からの政府による様々な施策により持ちこたえた感があり、数値の上では、新車登録の60%がこれらの施策の恩恵を受けている。なお、これらの施策は今年の9月まで延長が決定され、これは販売には好影響をもたらすと思うが、輸入車に対する恩恵は限定的である。
昨日政府が発表した新しい施策は、たいへんありがたいものである。燃費の要件に関して柔軟性が持たれ、輸入車にとってより門戸が広げられたわけで、私どもが以前から要望し、議論してきたことが受け入れられたものであると認識している。
もう少し詳細に述べると、燃費の要件には2つの面がある。
ひとつは、それは必ず達成しなければないということ、そしてもうひとつは、それをどのようにして証明できるかということである。ご存知のように、そのためには型式認証を受ける必要があり、それはある程度の販売量があって初めてコストとのバランスが取れるものである。
PHP制度においては、この燃費の審査が不要なため、公式燃費値が存在しない。そのため、施策の対象となるには、型式認証を受ける必要があり、その際の測定方法は世界でも例がない、日本独特のテストモードであり、これをクリアすることが条件となっている。それが今回の改訂により、PHPであっても、それぞれのモデルの生産国における公式燃費値を使用できることとなったわけである。
これは、日本が基準の国際標準化に向けての第一歩を踏み出したものと理解しており、私どものビジネス展開にとってはありがたいことである。ただし、まだ問題点は残っている。
たとえば、13年以上を経過したクルマを廃車にしてエコカーに代替えした場合、25万円の補助金を受けられるが、輸入車に多い500万円以上の価格帯においては、それほど大きなインパクトとはならない。さらに、13年を経過しても市場価値が25万円以上の輸入車は多い。
このような場合、25万円は意味がなくなってしまうため、私どもは、公平性を保つ意味から、支給額の算定を定額ではなく車両価格に対するパーセンテージに基づくものにしていただくよう要望してきた。
そうは言っても、大きな一歩を踏み出したことには間違いはなく、これはお客様にとってはもちろん、私ども輸入車を販売する側にとってもありがたいことである。
私ども輸入車業界では、日本全国でこのビジネスに従事する人間は25,000人前後にのぼり、ディーラー・ネットワークとしては1,000社ほどになると思う。さらに広告関連会社等を含め、裾野が広い業態である。
政府による支援策が発表されて以来、私どもの市場は大きく影響を受け、輸入車にとっては厳しい状況が続いていた。まさに生き残りを賭けて、自ら、これらの支援策に相当する補てんを行ってきた。その結果、海外ブランドの日本におけるビジネスは、収益が縮小してしまった。
【自動車関連税制に対する見解】
税制について申し上げると、私どもは日本市場の国際化、また取得、保有、走行の各段階における世界でも類をみないほど高い負担が強いられている日本の自動車税制に対しての改正要望を常に行ってきた。
クルマのライフサイクルにおける税負担で比較すると、実にアメリカの3倍ほどにもなる。
JAIAは、税負担の低減化においては、技術手法の如何を問わない、排出ガスの程度に応じた税制の構築を訴えてきた。
そうすれば、メーカーはそれぞれ目標達成のための最適な技術的手法を選択することができ、またお客様にとってはニーズに合った商品を選択できるようになるからである。
税制は、お客様が商品を選択する際には大きな影響を持っており、それはメーカーにとっても、設計上、特にエンジン排気量を決定する上で同様である。したがって、税制の構築にあたっては、消費者、メーカー共に長期的な視野に立脚した、信頼できるものであることが非常に重要である。
【市場活性化に向けた活動】
私ども海外ブランドのメーカーは、日本の自動車市場の活性化のための様々な努力を行っているが、何よりもまず、日本の基準に合ったモデルの開発をできる限り早く行い、お客様が支援策等の利益を享受できるよう努めている。しかし、昨日政府が発表した支援の拡大策や、2012年春までのエコカー減税制度は、やはりある特定の技術を採用したモデルにとって販売に大きなインパクトがあるものである。
JAIAの会員会社は皆、このような日本の基準に適合したモデルを速やかに導入できるよう努力を重ねている。それは若者のクルマ離れを防ぐためにも、またお客様にクルマに乗る楽しさを提供するためにも必要であると思う。
環境対応技術に優れるというだけでは、自動車が持つ本来の楽しさは味わえない。だからこそ、世界的に知名度が高い私どもの海外ブランドのクルマが、優れた安全性、快適性、信頼性、また高い性能とともに、お客様にクルマを単なる消費財、あるいは移動の手段としてではなく、「運転する楽しさ」を感じていただける商品として提供していきたいと考えている。
そうした状況を実現させるためには、日本政府が世界各国と基準調和を推進し、国際化を図ることが必要であり、そうすれば、私どももお客様に幅広いラインアップをよりリーズナブルな価格で提供できることになる。そのためにも、今後もロビー活動を継続し、たとえば燃料電池車や電気自動車等のゼロエミッション車に対する規制の導入に対しても、積極的に意見を発信していく。
また、日本自動車工業会(JAMA)、日本自動車販売協会連合会(JADA)をはじめとする他の自動車関連団体や、私どものビジネスにとって最も重要な経済産業省(METI)、国土交通省(MLIT)の方々と密接な関係を保っていく。
最後に、世界的に経済は回復基調にあり、日本経済も必ず回復に向かうと思う。
もちろん、私どもが直面している販売の低迷は、必ずしも景気によるものだけではないが、数年以内にはかつての水準にまでの回復を目指し、20万台の水準にまで戻ることを当面の目標とする。

