インタビュートップ > Vol.12 アウディ ジャパン株式会社 代表取締役社長 大喜多 寛

アウディ ジャパン株式会社 代表取締役社長 大喜多 寛

1960年代後半、フォルクスワーゲン同様にアウディも、ヤナセにより日本への輸入販売が始まる。1989年に両ブランドの正規輸入元として「フォルクスワーゲン アウディ 日本」(現フォルクスワーゲン グループ ジャパン)を設立。その後1998年にアウディ部門が独立、独AUDI AGが100%出資する「アウディ ジャパン」として現在に至る。2014 年の新車登録台数は31,413台と、日本市場では初の3万台超えを達成。ドイツプレミアムブランドの一角として年々存在感を増すアウディのこれからについて大喜多社長に話を伺う。

100年経っても変わらない「最高の素材、最高の技術で最高のクルマを作る」という思い。

加藤 話は変わりますが、いまスーパーGTのサポートを始められたり、日本でもWEC(世界耐久選手権)が開催されたりもあって、日本でもモータースポーツに力を入れ始めておられますが、もともとお好きなんですか?

大喜多 運転はあまりうまくないんですけど(笑)、でも見るのは好きですね。マツダにいる時代にカートに乗る機会などもあって、クルマってこういう挙動をするものなのかってことを身をもって体験したわけです。走る、曲がる、止まるという、クルマの基本性能をもっとも端的に表しているのがモータースポーツだと思うわけです。

ミニにいた時代には年に一度サーキットイベントを始めたんです。するとお客さんたちの反応も想像以上に良くて。家族連れで来ていただいて、普段は歩けないサーキットのコースを歩く時間を設けたりして、子どもたちもすごく喜んでくれる。そうすると必ず毎年来てくださる家族がいたり、クルマ離れっていうけどそれはクルマから離れているのではなくて、そもそもクルマに触れる機会がないわけで、それをなんとかしたいと思っていました。

加藤 アウディには、ルマンをはじめとする連綿と続くモータースポーツのDNAがありますしね。

大喜多 ちょうど社長になる直前くらいにR8が発売されて、絶対にこのクルマで何かやろうと決めていました。アウディスポーツの担当と話したのは、いま日本の家族は平均して年に約2回ディズニーランドにいくというデータがある。その2回のうち1回を富士スピードウェイなりサーキットにきてもらおうと、それを最終目標でやろうとGT300に参加することにしたんです。WECでもチームが日本に来てくれるので、そこは目いっぱいお客様へのホスピタリティに力を入れようとここ数年頑張っています。

加藤 今年はルマン24時間レースには行かれたのですか?

大喜多 行ってきました。アウディも頑張りましたけど、今年はポルシェが強かったですね。アウディはディーゼルのハイブリッドで勝負していて、直線ではゆうに300km/hを超えている。本当にどんな仕組みなんだろうと(笑)。

加藤 アウディはクワトロをはじめ、アルミを使ったウルトラライトテクノロジーやLEDヘッドライトなどレースで培った技術を市販車にきちんとフィードバックしている。そういうストーリー作りがとても巧みだし、レースカーと市販車が同じ文脈の上に存在しているだからこそヘリテージが生きてくると思うんです。

大喜多 そうですね。「最高の素材、最高の技術で最高のクルマを作る」という、創業者のホルヒの言葉をいまも丁寧に受け継いでいます。

加藤 ただ気になるのが、そのルマンでも全面に打ち出しているディーゼルの日本導入がまだですが、そのあたりはどのようにお考えですか?

大喜多 そうですね、ディーゼルはもうマストだと考えています。来年にはディーゼルも、そしてプラグインハイブリッドも入れるつもりです。ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、さまざま選択肢を提供していきますが、こういう言い方をすると怒られるかもしれませんが、燃費が良ければいいとは思っていなくて、やはりクルマは楽しくなければいけない。そのエッセンスをいかに持ち続けられるかが大切だと思います。

加藤 グローバルで見れば、昨年の販売台数はBMW、アウディ、メルセデスの順で、アウディはすでにメルセデス、BMWと肩を並べました。一方で日本ではまだ2社と少し差がある状況ですが、それについてはどうお考えですか?

大喜多 両者が80年代からインポーターを発足させているのに対して、われわれは98年ですから、10年以上のビハインドがあります。ビジネスをやっていく以上は持続的に成長していくことが大事で、その差を毎年少しずつ縮めていくことは必要だと考えています。最終的にどこまで伸ばせるのかはまだわかりませんが、グローバルで見れば今年もアウディと、BMWとメルセデスは、どこが1番になってもおかしくないくらい拮抗していますから、いずれは日本も肩を並べたいですね。

加藤 一方で、環境対応をはじめさまざま条件がもっと厳しくなっていく中で、これからの自動車のあり方とかアウディの方向性についてはどうお考えですか?

大喜多 2020年、30年に向けた戦略の中で、1つ目がクリーン化、環境への対応、そして2つ目が、都市化への対応。日本であれば東京、名古屋、大阪はもちろん、札幌、仙台、広島、福岡、のような地方都市に人が集まっている。住環境や渋滞のこと、都市化に関する問題は自動車メーカーとして必ず取り組まなければいけない課題です。そして3つ目が、バーチャルな世界、ITとどう組むか。うちでもアウディコネクトなどインターネットに繋がるサービスもありますが、もっと先をいく、自動運転なども見込んだ取り組みをやっていく必要があると思っています。

加藤 ではこれからはそういう方向性というか、価値観に共鳴してくれる人にアウディオーナーになって欲しいというイメージなのでしょうか?

大喜多 それもありますが、うちではブランドバリューを、「Progressive(革新的)」「Sporty(スポーティ)」そして「Sophisticated(洗練)」と打ち出しています。いわゆるステイタスみたいなものは謳っていません。やはり走ること、人生を豊かに楽しみたい人に乗っていただきたい。

加藤 なるほど。ちなみに今もアウディと言えばアバントが売れているものなんでしょうか?

大喜多 今はモデルラインアップも増えましたし、アウディ=アバントのイメージは薄れてきていると思います。先日新しいQ3を発表しましたが、SUVもよく売れていますし、3気筒エンジンを積んだA1も発売しました。今後は新型TTもあります。

加藤 そういえば本国では新型のR8も発表されましたよね。それはいつ日本に?

大喜多 まだはっきりとは言えませんが(笑)、今年は東京モーターショーもありますから、ぜひそちらにも期待してください。

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インタビュアー:カーグラフィック代表取締役社長 加藤 哲也
1959年生まれ。東京都出身。大学卒業後はテレビ番組制作会社に勤務。1985年、出版社である二玄社へ転職。自動車専門誌『カーグラフィック』に配属される。2000年に編集長に就任。2007年には姉妹誌であった『NAVI』の編集長も歴任した。2010年に二玄社からカーグラフィックの発行を引き継ぎ同社を設立、代表取締役社長を務める。

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